2023年11月12


テレワーク推進フォーラムのこれまでと今後

テレワーク推進フォーラム会長

宇治 則孝

「NTT社長、テレワーク、コロナ後も拡大、対象5割増に」(日経23.6.20) とか「富士通本社機能を川崎工場などに移転へ、リモートワーク普及で」(NHK23.9.22)など、企業の働き方に関して以前には考えられなかった大きな動きがメディアに出て、話題になっている。


ところで、テレワーク推進フォーラムは、総務、厚生労働、経済産業、国土交通のテレワーク関連4省の呼びかけもあり、「テレワークを広く社会に普及させることにより個人と企業、地域が活性化出来、日本社会の持続的な発展に寄与すること」を目的に2005年に設立された。


その後、①社会的に働き方改革の機運が政府も企業も盛り上がったこと、②ICTの技術進歩が急速に進展したことにより、テレワークをめぐる環境は大きく変化した。

更に、東京オリンピックにおける混雑対応でテレワークの準備が進んだことに加え、コロナ感染防止対策で一気に活用度が伸びた。


その間、フォーラムとしては、「テレワーク月間」や「テレワークデイズ」の活動や、産官学連携セミナなどを含め、テレワーク推進活動を進めてきたところであるが、2022年に政府の推進体制が変更されたことを契機に、テレワーク推進フォーラムは、政府連携というそれまでの性格から、テレワーク推進の民間の任意団体として活動を進めることとなった。


先に述べたように、2020年からの新型コロナウイルス感染症を契機にテレワークをめぐる環境は大きく変化し、もはや、テレワークはかつてのように、新しい働き方、特別な働き方ではなく、社会に認知された働き方となっていった。

「ICTを活用した時間や場所にこだわらない柔軟な働き方」というテレワークの意味合いなどを説明する初期の推進段階は、既に過ぎたと考えられる。


ただ、コロナも5類に移行し、収まりを見せてくると、テレワークの活用とは逆に、原則出社を義務付ける企業も出てくるなど、テレワークの位置付けも様々な様相を見せるようになった。


テレワークは、個人や企業にとって最も働きやすい働き方を自分で選択する上での一つの手段であり、その手段を使って、どう活用するかということが重要である。

今後は、働き方改革全体の中でのテレワークの活用の仕方という視点で、今までの実績やノウハウ・知見も活かしつつ、現場の実態を踏まえた意見交換、情報交換、情報発信を行うことがますます必要である。


そういう意味で、生産性向上、創造性向上、イノベーション活性化、女性活躍、育児対策、少子化対策、ウェルビーイング、優秀人材獲得対策、地方創生、都市計画、環境対策、オフィスのあり方、労働法制対応、グローバル対応など、「テレワーク」の活用に関連して、より深くまた本音の議論が深まることが期待される。


テレワーク推進フォーラムとしては、今までのメンバに加え、興味関心のあるメンバにも参加していただき、そういった「場」をネット上に提供していくことで、社会に貢献していきたい。